(平成26年度12月)
城攻めをした。吹上城6Km往復の虎岳恒例の遠足である。帰路3分の2を過ぎた頃“歩けない”と女児5歳が涙で止った。担任に“もう直ぐだからネ”と諭(さと)され私と最後尾より全体を追う。少し歩いては、咳き上げ涙で止まる。止めても溢れる、感情を涙と呻き声で堰き止めているのだ。横目で盗み見た。目が会えば女児は声で泣く、微妙な一瞬である。視線一つがバランスを崩す。何も出来ない。“頑ん張れるよネ”の教師のひと言は5歳に成った許りには、耐えるに余りに大き過ぎる。
年中の仲間が、時折り振り返ってくれる優しさが女児の手を引く、“ついて来るんだヨ”と年長の背中が言葉を送る。頑ん張る自分を落ちる涙が教える。自分で5歳に挑んでいる。
頑ん張れ5歳。6歳になったら、給食なんぼおかわりしてもエエよ。そんな自虐しか園長は言えぬ。
頑ん張る5歳、そしてその仲間も教師も私は誇りに思う。
集団が教える“力”を持つ。言葉を超える“力”を団体が教える。仲間が個を大きくもする。共に生活する魅力が其処に在る。
幼稚園に遅れてはいけない。
幼稚園を休んではいけない。
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